効果的なマーケティング調査を行うためには、消費者が購買に至るまでのプロセスを深く理解することが重要です。本記事では、調査項目を導き出す際に役立つ代表的なメンタルモデルである『AIDMA』を中心に、他の主要なメンタルモデルも紹介します。これらのモデルを活用することで、より具体的で的確な調査項目を作成し、消費者の行動を深く洞察することができます。
メンタルモデルとは?
メンタルモデルとは、消費者が商品やサービスを認知し、最終的に購買に至るまでの無意識の価値観や思考プロセスを示したものです。これらのモデルを理解することで、消費者の購買行動を予測し、調査項目を設計する際に重要な視点を得ることができます。
AIDMAモデル
AIDMAは、消費者の購買プロセスを以下の5つのステップに分けて説明するメンタルモデルです。
Attention(注意)
消費者が商品やサービスの存在に気付く段階。広告やプロモーション活動を通じて、商品が消費者の目に留まることが重要です。
調査項目の例: 商品を知ったきっかけは何ですか?(テレビ広告、インターネット広告、口コミなど)
Interest(興味)
消費者が商品やサービスに興味を持ち、さらに詳しい情報を探す段階。この段階では、商品が消費者の関心を引くことが重要です。
調査項目の例: 商品に興味を持った理由は何ですか?(デザイン、機能、価格など)
Desire(欲求)
消費者がその商品やサービスを欲しいと感じる段階。この段階では、消費者の購買意欲を刺激することが重要です。
調査項目の例: この商品を購入したいと思った理由は何ですか?(使いやすさ、評判、価値など)
Memory(記憶)
消費者が商品やサービスを記憶し、必要なときに思い出す段階。ここでの商品認知が購買につながります。
調査項目の例: この商品を記憶に残している理由は何ですか?(広告の印象、友人の推薦など)
Action(行動)
消費者が実際に商品やサービスを購入する段階。購入の最終決定に至るまでのプロセスが含まれます。
調査項目の例: 実際に商品を購入したのはどのような理由からですか?(割引、必要性、タイミングなど)
その他のメンタルモデル
AIDMAに加えて、他にも消費者の購買行動を理解するためのメンタルモデルが存在します。これらのモデルを理解し、組み合わせて使用することで、より包括的な調査項目を設計できます。
・AISASモデル
AISASは、Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の頭文字を取ったもので、インターネットが普及した現代の購買プロセスを反映しています。
Search(検索): 消費者が興味を持った後、自分でさらに情報を探す段階です。
調査項目の例: 商品についてどのような情報を調べましたか?(レビュー、価格比較、使用方法など)
Share(共有): 購入後や利用後に、消費者がその体験を他人と共有する段階です。
調査項目の例: 商品やサービスを他人にどのように紹介しましたか?(ソーシャルメディア、口頭、レビューサイトなど)
・AISCEASモデル
AISCEASは、AISASに評価(Compare)と期待(Expectation)を追加したモデルです。
Compare(比較): 消費者が複数の選択肢を比較検討する段階です。
調査項目の例: 購入を検討した他の商品やサービスは何ですか?(ブランドA、ブランドB、価格帯など)
Expectation(期待): 消費者が商品やサービスに対して抱く期待や予測です。
調査項目の例: この商品にどのような期待を持っていましたか?(性能、耐久性、使い勝手など)
・FMOTモデル
FMOT(First Moment of Truth)は、消費者が初めて商品を目にした瞬間の影響を強調するモデルです。P&Gが提唱したこのモデルは、購入の決定が初めての商品接触で形成されると説きます。
調査項目の例: 初めてこの商品を見たときの第一印象はどうでしたか?(デザイン、パッケージ、配置など)
・SMOTモデル
SMOT(Second Moment of Truth)は、消費者が商品を実際に使用した際の体験に焦点を当てるモデルです。
調査項目の例: 実際に商品を使用してみて、どのような体験をしましたか?(満足、不満、驚きなど)
・ZMOTモデル
ZMOT(Zero Moment of Truth)は、Googleが提唱したモデルで、消費者が購入を決定する前に行うオンラインでの情報収集を強調します。
調査項目の例: 購入前にオンラインでどのような情報を探しましたか?(レビュー、動画、比較記事など)
調査項目の導き出し方
調査項目を設計する際には、上記のメンタルモデルを参考にして、以下のステップを考慮すると良いでしょう。
①ターゲットの購買プロセスを理解する
ターゲットとする顧客が、どのようなプロセスを経て購買に至るかを理解します。これにより、どのメンタルモデルが最も適しているかを判断できます。
②各プロセスでのニーズと課題を特定する
消費者が各ステップで何を求め、どのような課題に直面しているかを特定します。これにより、調査項目を具体化しやすくなります。
③メンタルモデルを活用して具体的な質問を作成する
選択したメンタルモデルに基づいて、各ステップに対する具体的な調査項目を作成します。これにより、調査結果が実際の消費者行動を反映したものになります。
まとめ
調査項目を導き出すためには、消費者が商品やサービスを認知し、興味を持ち、購入に至るまでのプロセスを理解することが重要です。AIDMAを始めとするメンタルモデルを活用することで、消費者の行動をより深く洞察し、具体的で有益な調査項目を作成することができます。これにより、調査結果がより実用的でビジネスに役立つものとなるでしょう。