カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスに出会い、興味を持ち、購入し、利用するまでの全てのステップを一つの旅(ジャーニー)として捉える概念です。本記事では、カスタマージャーニーの基本的な考え方や、そのステップごとの詳細、カスタマージャーニーマップの作成と活用方法について、具体的な例を交えながら解説します。
カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスに出会い、それを購入し、使用するまでの一連のプロセスを表現したものです。これを視覚化したものがカスタマージャーニーマップと呼ばれ、顧客がどのようなステップを踏んでいるのかを明確に理解するためのツールとなります。
たとえば、新しいレストランを探しているとします。まず、インターネットで情報を見つける(認知)、次に友人の口コミを聞く(興味)、オンラインでメニューを調べる(検討)、予約をする(購入)、実際に訪れて食事を楽しむ(利用)、そして食事が良かったら、再度訪問するか、友人に勧める(リピート)という流れを考えるとわかりやすいでしょう。
カスタマージャーニーのステップ
カスタマージャーニーは、以下のような主要なステップに分けられます。それぞれのステップで、顧客がどのような体験をするかを理解することが重要です。
①認知
顧客が初めて商品やサービスについて知る段階です。これは広告やソーシャルメディア、口コミなどを通じて行われます。例えば、友人がソーシャルメディアでシェアした新しいガジェットの投稿を見て、その存在を初めて知ることです。
②興味
顧客が商品やサービスに興味を持ち、さらに詳しい情報を探し始める段階です。例えば、そのガジェットについてのレビューを検索したり、公式サイトを訪れて詳細を調べることです。
③検討
顧客が複数の選択肢を比較し、購入を検討する段階です。ここでは、商品の価格、機能、評判などを比較して、自分に最適な選択肢を探します。例えば、他のガジェットと機能を比較し、どれが自分に合っているかを評価することです。
④購入
顧客が実際に商品やサービスを購入する段階です。オンラインショッピングでカートに入れて決済を完了したり、店舗で商品を購入したりすることが含まれます。例えば、そのガジェットをオンラインで注文することです。
⑤利用
顧客が商品やサービスを使用し、その体験を楽しむ段階です。ここでの経験が良ければ、顧客満足度が高まり、リピート購入につながります。例えば、購入したガジェットを使って新しいアプリケーションを楽しむことです。
⑥リピート
顧客が満足し、再度購入したり、他人に推薦する段階です。良い体験をした顧客は、そのブランドに忠誠を持ち、他の人にも勧める傾向があります。例えば、友人にそのガジェットを勧めたり、自分が追加のアクセサリを購入することです。
カスタマージャーニーマップのメリット
カスタマージャーニーマップは、顧客の視点から企業との全ての接触点(タッチポイント)を詳細に把握するのに役立ちます。以下はその主なメリットです。
・顧客理解の深化
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客がどのように商品やサービスに接し、どのような感情やニーズを持っているかを深く理解することができます。例えば、Eコマースサイトでの購入プロセスをマップ化することで、どの部分で顧客が迷いやすいかを特定できます。
・課題の特定と改善
マップを通じて、顧客がどの段階でどのような問題に直面しているかを明らかにし、サービスの向上やプロセスの最適化を図ることができます。例えば、顧客がカートに商品を入れた後に購入をやめることが多い場合、その原因を探り、チェックアウトプロセスを改善することができます。
・ブランド価値の向上
顧客体験全体を俯瞰することで、顧客満足度を向上させ、ブランドへの信頼を強化することができます。例えば、顧客のフィードバックを基にサポート体制を改善することで、顧客がブランドに対して感じる信頼感を高めることができます。
・部門間の認識の共有
カスタマージャーニーマップは、異なる部門が顧客体験の向上に向けて協力するための共通の基盤を提供します。これにより、部門間のコミュニケーションが円滑になり、チームワークが強化されます。例えば、マーケティングチームとカスタマーサポートチームが共同で取り組むことで、顧客がマーケティングからサポートまで一貫した体験を得られるようになります。
カスタマージャーニーマップの作成方法
カスタマージャーニーマップを作成するためのステップは以下の通りです。
①顧客ペルソナの定義
まず、ターゲットとなる顧客像(ペルソナ)を明確にします。これには、顧客の背景、目標、ニーズなどが含まれます。例えば、ペルソナとして「30代の働く母親」を設定し、彼女がどのようにして商品に出会い、購入に至るかを考えます。
②顧客タッチポイントの特定
次に、顧客が商品やサービスと接触する全てのポイントを洗い出します。これは、広告、ウェブサイト、店舗、カスタマーサポートなど、様々な接点を含みます。例えば、広告を見て興味を持ち、ウェブサイトを訪れ、店舗で実際に商品を見て購入する、といった流れです。
③顧客の感情とニーズの分析
各タッチポイントで顧客がどのように感じ、どのようなニーズを持っているかを分析します。これにより、顧客がどの段階で満足し、どこでストレスを感じるかを理解できます。例えば、オンラインショッピングでの支払い手続きが煩雑だと感じる顧客が多い場合、その部分の改善が必要です。
④課題の特定と解決策の立案
マップを基に、顧客が直面する課題を特定し、それを解決するための具体的なアクションプランを立てます。例えば、支払い手続きを簡素化するために、複数の支払いオプションを提供したり、手続きのステップを減らしたりすることが考えられます。
まとめ
カスタマージャーニーとそのマップは、顧客がどのようにして商品やサービスに出会い、購入し、使用するかを詳細に理解するための重要なツールです。これにより、顧客体験を向上させ、ビジネスの成功に寄与します。カスタマージャーニーマップを作成し、顧客のニーズや行動を深く理解することで、サービスの改善やブランド価値の向上を図ることができます。これを活用することで、顧客とのより強い関係を築き、競争の激しい市場での成功を目指しましょう。